弁護士 花田 勝彦
2023.5.8
皆さんは法律相談というと、どのような場面を想像するでしょうか。我々弁護士が日常的に行っている法律相談は、事務所内で行うものと、事務所外で行うものに分けられます。
後者は、それぞれの法律相談会の趣旨や目的によって、さまざまなスタイルで行われます。例えば相談時間も一人20分までという短いものや、60分の枠があるものと区々に渡ります。無料相談会の多くは30分といったところでしょうか。
最初にお話しを聞いてから30分以内に一応の法的な答えを出すというのは、経験の浅い弁護士では極めて難しいと思います。それゆえ、事前に相談の概略を聞いて調査し、関係書類も予め預かるなどして効率的に行う等の工夫をしないと充実した法律相談にすることは困難です。これは、相談を受ける側の弁護士だけでなく、相談者も必要な情報を整理して提供できないとうまくいかないということです。
つまり、1回30分の相談で込み入った法律相談の答えを出すことは難しいということはご理解いただきたいと思います。
外部相談会では、込み入った法律相談ではなく、まだ紛争になっていないが、事前に知識として聞いておきたいといったものもあります。そのような場合であれば、短い時間で適切な対応ができることもあるでしょう。ただ、件数としては多くありません。
外部相談で込み入った相談の対応をする場合、概略を聞いて事務所の継続相談とすることが多いと思います。必要書類を指示して、次回相談日に持参していただくことが効果的です。例えば相続の相談ですと戸籍謄本や遺産に関する資料等です。
長く法律相談に携わってくると、相談対応の引き出しが増えるので、短時間でも一応の答えを出すことはできるようになってきます。但し、基本的な資料が手元にない場合には、あくまで一般論で終わってしまうので注意が必要です。
多くの場合、相談者自身が整理できていないので、いかに問題点を整理して具体的な対応を指示できるかという点に注意をしています。但し、あまり決め打ちをしてしまわないようにすることも同時に必要だと思います。
先ほど触れたように、1人20分という相談会があります。3時間で9コマの相談枠があるので、混んでいるときは9コマ全て埋まることもあります。この相談会のような場合、できるのは割り振りすることだけと言っても過言ではありません。事案の概略を把握して、継続相談とするか、一応の答えを出して相談者に再検討させるか、という程度のことしかできないものです。20分ごとに新しく複雑な話を理解しなければならないので、これはかなりハードです。3時間終わるとぐったりとしてしまいます。
無料相談は有料相談よりもレベルが低いのかという問題があります。多くの場合、無料相談というのは相談者が無料なだけで、相談を受ける弁護士は相談料をいただきます。それゆえ、無料相談と有料相談に差はないはずです。
但し、相談はあくまで相談、弁護士の場合、相談の先にある受任という手続を経て、その事件を解決していくことになります。相談はその入口であって、適切に振り分けることを意識して臨むことが相談者にとっても最良の対応ということになると思います。
外部相談会を担当すると、弁護士がゼロだった時期に事務所を開設したころのことを思い出すことがあります。多くの相談者が、自分の悩みを話してくれるのですが、それが法律問題なのかそうでないのか、というところから始まり、相談で終わるものと継続するものの振り分け、手続的にどのような選択肢があるのか、時間はどの程度かかるのか、弁護士費用はどうか等、弁護士が相談者に提供すべき情報は多岐にわたります。継続相談の場合、判例や文献の調査をする必要がある場合もあります。
事件受任の入口であると同時に、法律相談は弁護士にとって必要なスキルを磨く大切な機会でもあると思います。常に緊張感をもって目の前の相談者に対峙することを忘れないで続けていきたいものです。

